Debian 13(Trixie)で変わったこと総まとめ

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※本ページには広告(アフィリエイトプログラム等)が含まれます。バージョンと日付は 2026年8月16日時点の Debian 公式サイトの記載、および運用中の VPS(Debian 12・メモリ 958MB)から採取した実測値です。

🎯 結論:Debian 12 の完全サポートは 2026年7月11日に終了した。移行を計画する時期

結論から書きます。Debian 12 (bookworm) の 3 年間の完全サポートは 2026年7月11日で終わりました。今は LTS(2028年6月30日まで)に入っています。

手元の VPS を確認したら Debian 12.15 でした。これは完全サポート期間の最後に出たポイントリリースそのものです。まだ動きますが、「そろそろ計画を立てる時期」という位置に来ています。

$ cat /etc/debian_version
12.15
$ uname -r
6.1.0-52-amd64
  • Debian 13 (trixie) は 2025年8月9日リリース。現行は 13.6(2026年7月11日)
  • 13 の完全サポートは 2028年8月9日まで、LTS は 2030年6月30日まで
  • カーネルは 6.1 → 6.12、PHP 8.2 → 8.4、MariaDB 10.11 → 11.8
  • ⚠️ 64bit time_t への移行 → 2038年問題への対応。自前ビルドがあるなら要確認
  • ⚠️ i386 は縮小、armel は最終リリース → 古い環境は移行先を決める必要がある
  • 急いで上げる必要はない → LTS があるので 2028年6月まで猶予はある

リリースとサポート期限を並べる

いつまで使えるのか

項目 Debian 12 (bookworm) Debian 13 (trixie)
最初のリリース 2023年6月10日 2025年8月9日
最新のポイントリリース 12.15(2026年7月11日) 13.6(2026年7月11日)
完全サポート終了 2026年7月11日(終了済み) 2028年8月9日
LTS 終了 2028年6月30日 2030年6月30日

LTS に入ると何が変わるか

LTS はセキュリティ修正が続く一方で、対象パッケージが絞られます。すべてのパッケージが同じ手厚さで面倒を見てもらえるわけではありません。

「まだ 2028年6月まであるから大丈夫」と考えるのは半分正しく、半分危険です。自分が使っているパッケージが LTS の対象に入っているかを、一度は確認しておくほうが安全です。

次のリリースを待つべきか

Debian は約 2 年周期なので、次の Debian 14 は 2027年ごろが見込まれます。12 の LTS が切れる 2028年6月より前に 14 が出る計算なので、「13 を飛ばして 14 を待つ」も選択肢としては成立します。

ただし 12 → 14 の 2 世代飛ばしは公式にサポートされる手順ではありません。13 を経由する前提で計画するのが素直です。

何が新しくなるのか

主要ソフトウェアのバージョン対比

公式のリリースノートに載っている対比のうち、サーバー運用で効くものを抜き出します。

パッケージ Debian 12 Debian 13
Linux カーネル 6.1 系 6.12 系
PHP 8.2 8.4
MariaDB 10.11 11.8
PostgreSQL 15 17
nginx 1.22 1.26
OpenSSL 3.0 3.5
systemd 252 257
OpenSSH 9.2p1 10.0p1
Python 3 3.11 3.13
GCC 12.2 14.2
Perl 5.36 5.40
Postfix 3.7 3.10

影響が大きいのは DB とカーネル

Web サーバー用途でいちばん構えるべきは MariaDB 10.11 → 11.8 です。メジャーバージョンをまたぐので、アップグレード前にダンプを取るのは必須です。

カーネル 6.1 → 6.12 は、VPS のような仮想環境なら普通は素通りできます。ただし再起動が必須なので、止められない時間帯を避けて計画してください。

OpenSSH 10 の互換性

OpenSSH が 9.2 → 10.0 と大きく上がります。古いアルゴリズムの削除が進んでいるので、古い踏み台や古いクライアントから接続している場合は事前確認が要ります。

手元の Debian 12 と並べてみる

実際に入っている版を出す

公式の対比表は「Debian が配布している版」の話です。実際の環境は外部リポジトリを混ぜていることも多いので、自分の環境を先に出しておきます。

$ for p in linux-image-amd64 nginx mariadb-server openssl systemd; do
    printf "%-18s %s\n" "$p" "$(dpkg-query -W -f='${Version}' $p 2>/dev/null)"
  done
linux-image-amd64  6.1.180-1
nginx              1.22.1-9+deb12u9
mariadb-server     1:10.11.18-0+deb12u1
openssl            3.0.20-1~deb12u2
systemd            252.39-1~deb12u2

公式の版と食い違うところを把握する

パッケージ 手元(実測) Debian 13
Linux カーネル 6.1.180-1 6.12 系 マイナー 11 世代
nginx 1.22.1 1.26 マイナー 4 世代
MariaDB 10.11.18 11.8 メジャー 1 世代
OpenSSL 3.0.20 3.5 マイナー 5 世代
systemd 252.39 257 5 世代
Python 3 3.11.2 3.13 マイナー 2 世代

⚠️ PHP を外部リポジトリから入れている場合は別枠で考えてください。手元の環境は Debian 12 標準の 8.2 ではなく 8.3.33 が入っています。この場合、OS を上げても PHP はリポジトリ側の管理が続くので、OS のアップグレードと PHP のアップグレードは別作業になります。

見落としやすい変更点

64bit time_t への移行

Debian 13 では i386 以外のすべてのアーキテクチャで 64bit の `time_t` に統一されました。いわゆる 2038年問題への対応です。

パッケージを使っているだけなら意識する必要はありません。⚠️ ただし自前でビルドしたバイナリや、配布元が古い商用バイナリを使っている場合は ABI が変わるので、動作確認が要ります。

riscv64 が正式サポートに

Debian 13 で riscv64(64bit RISC-V)が初めて公式サポートになりました。国内の VPS で選べる場面はまだ少ないですが、対応が進む合図ではあります。

i386 と armel の縮小

32bit PC(i386)は「amd64 上で 32bit のソフトを動かすため」の部分的な提供に縮小されました。armel はこれが最後のリリースと位置づけられています。古い機器を抱えている場合は移行先を決める時期です。

アップグレード前に確認すること

ディスクの空きとバックアップ

$ df -h /
/dev/vda2        99G   46G   49G  49% /

ディストリビューションのアップグレードはパッケージを大量に展開します。空きが数 GB しかない状態では始めないでください。手元は 49GB 空いているので余裕があります。

DB のダンプは必ず先に取る

MariaDB がメジャーバージョンをまたぐので、ここは省略できません。

$ sudo mariadb-dump --all-databases --single-transaction \
    --routines --events > /var/backups/all-$(date +%F).sql
$ ls -lh /var/backups/all-*.sql

外部リポジトリを先に棚卸しする

ここが実務でいちばん詰まるところです。bookworm 向けの外部リポジトリを残したまま上げると、依存関係が壊れます。

$ grep -rhv '^#' /etc/apt/sources.list /etc/apt/sources.list.d/*.list \
  | grep -v '^$'

出てきた行のうち、公式(deb.debian.org / security.debian.org)以外は、trixie 向けの提供があるかを 1 つずつ確認します。⚠️ 使っていないのに残っているリポジトリも見つかりやすいので、この機会に消しておくと後が楽です。

よくある質問

Q1. Debian 12 はもう使えないのですか?

結論:使えますが、2026年7月11日で完全サポートは終わり、LTS に入っています。LTS は 2028年6月30日までですが、対象パッケージが絞られます。自分が使っているパッケージが対象かどうかを一度確認してください。

Q2. Debian 13 はいつリリースされましたか?

結論:2025年8月9日です。2026年8月16日時点の最新ポイントリリースは 13.6(2026年7月11日)。完全サポートは 2028年8月9日、LTS は 2030年6月30日までです。

Q3. アップグレードでいちばん危険なのはどこですか?

結論:MariaDB のメジャーバージョンアップ(10.11 → 11.8)と、外部リポジトリの残骸です。DB は事前ダンプが必須、外部リポジトリは bookworm 向けのまま残すと依存関係が壊れます。

Q4. PHP も一緒に上がりますか?

結論:Debian 標準のものを使っていれば 8.2 → 8.4 に上がります。ただし外部リポジトリから入れている場合はそちらの管理が続くので、OS のアップグレードとは別作業になります。

Q5. 64bit time_t の変更は何に影響しますか?

結論:パッケージを使っているだけなら影響しません。影響するのは自前ビルドのバイナリや、配布元が更新していない商用バイナリです。ABI が変わるため、動作確認が必要になります。

Q6. 13 を飛ばして次のリリースを待てますか?

結論:待てますが、2 世代飛ばしのアップグレードは公式手順ではありません。Debian 12 の LTS は 2028年6月30日までなので時間的には可能ですが、13 を経由する前提で計画するほうが安全です。

まとめ

Debian 12 の完全サポートは 2026年7月11日で終わり、いまは LTS です。今日明日どうにかなる話ではありませんが、計画を立て始める時期には来ています。

  • 🎯 期限 → 12 の LTS は 2028年6月30日、13 の完全サポートは 2028年8月9日
  • 🎯 いちばん構えるところ → MariaDB 10.11 → 11.8 と外部リポジトリの棚卸し
  • 🎯 先にやること → ディスクの空き確認と DB のダンプ

日付とバージョンは 2026年8月16日時点の公式記載、実測値は同日に運用中の VPS から採取したものです。常駐プロセスの管理はsystemd のユニットファイル、メモリ不足の対処はスワップの追加、障害の切り分けはAI を使ったログの切り分けにまとめています。

読んで頂いて有り難うございます!